
「なんで俺の分だけ大盛りなの?」母が3秒黙ってから笑った、あの日の食卓
育ち盛りでもない息子に山を盛るのは子ども扱いだと、俺は勝手に決めていました。食べ終えた2つの茶碗を流しで並べるまで、その思い込みが解けることはありませんでした。
母と2人の食卓で、俺の茶碗だけが違いました
実家を出て数年になります。月に1度ほど顔を出し、母と2人でごはんを食べて帰るのが決まりのようになっていました。
その日も食卓に、母が茶碗を2つ運んできました。母の茶碗は、ごはんが縁の内側にきれいにおさまっていました。それに比べて、俺の前に置かれたものは上までこんもりしています。
食べる量について何か言われるのが気まずくて、これまで自分から量の話をしたことはありませんでした。それでも、この日は違いがはっきりしています。
箸を取る前に、俺は口に出しました。
「なんで俺の分だけ大盛りなの?」
「なんで俺の分だけ大盛りなの?」
軽い気持ちで聞いただけでした。
母は俺を見ました。うなずくのでもなく、首を振るでもありません。
数えたわけではありませんが、3秒くらいあったと思います。
母は笑って、
「足りなかったら言いなさいね」
と言いました。
聞いたことへの答えにはなっていません。
俺はもう一度聞こうかと思いましたが、そのまま箸を取りました。
育ち盛りでもない息子に山盛りのごはんを出すのは、いつまでも子ども扱いしているからだろう。そう受け取ったからです。
食べ終わるまで、その話には戻りませんでした。