
得意げにエアコンを切っていた俺が、彼女に打ち明けられなかったこと
「慣れれば平気だって」と笑ってみせるたび、彼女の返事は短くなっていきました。あの通知が全部を明かした後、俺が最初に口にした言葉があります。
言えないまま貼った張り紙
同棲して1年になる彼女に、先月から残業がなくなったことを言い出せずにいました。給与明細を開くたび、家に入れる金額の計算が合わなくなります。それでも俺は「今月から本気で節約する」と宣言し、前向きな挑戦のように振る舞いました。「使用禁止」と書いた張り紙を壁のエアコンに貼ったのも俺です。彼女がスイッチに手を伸ばすたび、「エアコン代もったいない」と取り上げて電源を切りました。減った分をどこで埋めるか、頭の中はそればかりでした。
短くなっていく返事
彼女は文句を言いませんでした。凍らせた保冷剤を首に当てて、扇風機の前から動かない背中を、俺は見ないふりをしていました。日中の俺は冷房の効いた事務所にいて、家でだけ平気な顔をしていたのです。「今月まだ一度もつけてないよ」と言われた日、俺は「慣れれば平気だって」と笑ってみせました。「じゃあ請求、楽しみにしてるね」と応じた彼女の一言で、家計アプリの通知日が近いことを思い出しました。それからは、カレンダーを開いては残りの日数を数えていました。