
花火大会で場所を奪った私たち、5分後に周りの視線が変わった理由
先に敷いてあったレジャーシートを畳んで通路の脇に置き、私は土手の下にいる家族へ大きく手を振りました。家族を呼んだ直後、隣で三脚を組んでいた男性がこちらへ歩いてきました。
出遅れた場所取り
支度に手間取って、家を出るのが例年より遅くなりました。着いたころには土手はシートで埋まっていて、子どもたちの足取りも重くなっていきます。そんなとき、一番見やすい一角に、人のいないシートを見つけました。置いてあるのは保冷バッグとタオルだけ。「もう戻ってこないかもしれない」そう自分に言い聞かせて、畳んだシートの上に、持ち主の保冷バッグとタオルを重ねて置きました。
戻ってきた持ち主
夫は何も聞かずに荷物を広げ、子どもたちはお菓子の袋を開けました。誰も、シートのことには触れません。数分して、女性が夫と小さな娘を連れて戻ってきました。「ここ、シートを敷いていたんですが」と言われた時、「来たときには何もありませんでしたけど」と、私は即座に返しました。相手の夫が、脇に寄せたシートを指さします。「知りません。落ちてたんじゃないですか」引き返せる場面は何度もあったのに、私は声を張って笑いました。「証拠ある?」自分の声が、思っていたより大きく響きました。