
定型文を確認せず送った俺、丁寧な相手から返事が途絶えた
既読の印はすぐにつきました。それでも彼女からの返信は、何度アプリを開き直しても届きませんでした。自分が何を積み上げていたのか、俺はそこで初めて数え直しました。
返信をさばくだけの毎日
アプリを開くたび、未読の印が増えていました。プロフィールの写真を変えてからマッチも返信も一気に増え、俺は空いた時間のほとんどをやり取りの消化に使っていました。1人ずつ文面を考える余裕はとうになく、最初のあいさつはメモ帳に保存した1本で回すと決めていました。彼女にも、いつもの文章を送りました。
「こんにちは!都内で営業の仕事をしています。休みの日はサウナによく行きます。よろしくお願いします!」
誰の言葉かも残らないまま
「はじめまして。私はカフェ巡りが好きな会社員です。マッチできて嬉しいです。よろしくお願いします。」
丁寧な返信だとは思いました。ただそのころの俺は、画面の向こうを1人ずつ思い浮かべることをやめていました。犬の写真の人、旅行好きの人、返信の早い人。そんな雑な分類のまま、通知を消すためだけに機械的に既読をつけていく。彼女の自己紹介も、内容が頭に残らないまま流れていきました。