
詮索好きな隣人から彼女を守るはずが、俺は彼女自身を傷つけていた
彼女の腕を引いて玄関を閉めた俺に、彼女は問いを投げました。
前の失敗
斜向かいに住む年配の女性は、引っ越しの挨拶の翌日から、俺の生活を細かく知りたがりました。当時付き合っていた人は、玄関先で名前と勤め先を聞き出され、いつの間にか撮られていた写真をご近所に見せて回られました。
人目を気にして外を歩けなくなったその人は、俺の部屋に来なくなり、そのまま離れていきました。管理会社に相談しても、挨拶と世間話の範囲だと言われて終わりでした。
増やした約束
いまの彼女と付き合い始めてから、俺は約束を増やしました。訪ねる日は事前に知らせてもらい、玄関では声を落としてもらう。靴は箱へ、傘は室内へ。帰り際には必ず言いました。
「周りを見てからドアを開けて」
理由を話せば、彼女まで怖がらせると思っていました。彼女の表情が少しずつ曇っていくことに、俺は気づいていませんでした。