
彼から届いた共有ドキュメントに、見覚えのないアカウントと私には開けないリンクがあった
「先に言っておかないと、感じ悪いよ」という姉の忠告を、僕は笑って聞き流していました。リンクを開けないままの彼女が何を考えていたのか、気づいたのは、彼女を目の前にしてからです。
ひまわりアイコンの共有者
ノートには行き先の候補や持ち物のページがあり、候補の欄には海の見える町がひとつ書き込まれていました。共有者の一覧を確かめると、彼と私のほかに、もうひとり。名前に見覚えはなく、アイコンはひまわりの写真です。本文の中ほどには、別ドキュメントへのリンクが貼ってありました。タップしても、権限がありません、と表示されるだけで、中は開けません。彼に「ドキュメントのリンク、私からは開けないんだけど」と送ると、返ってきたのは「ごめん、あとで直しておくね」でした。
履歴に残るひまわり
数日たっても、ドキュメントにあるリンクは開けないままでした。それでもドキュメントは動いていて、開くたびに更新の印がついています。編集の履歴を確かめると、ひまわりのアカウントが何度も書き込みを残していました。会社の人だろうか。学生のころの友だちだろうか。浮かぶ顔がないまま、想像だけが先へ進みました。聞く短い文を打っては、やきもちに見える気がして消します。旅行の話題を、私のほうから出せなくなっていました。