
重いと言ってしまった彼女の手紙を、俺が引き出しの一番上に残していた理由
机の一番上の引き出しを開けるたび、白い封筒が目に入ります。彼女が俺の名前を書いた、あの手紙です。読み返すたびに、自分が言ってしまった一言を思い出します。あのとき口から出た言葉と、思っていたことは、まるで逆でした。
「重い」なんて、思ってもいなかった
手紙を読み終えて、最初に出てきたのは「ありがとう」でした。本当はその後に、同じくらいの言葉を返したかったのです。けれど、これだけ正面から気持ちを向けられた経験が、俺にはありませんでした。
同じ重さを返せる自信がない。それを認めるのが怖くて、「こういうの、ちょっと重いよ」と、軽く笑ってごまかしてしまったのです。
受け取り方が、わからなかった
俺の家では、気持ちを言葉にする習慣がありませんでした。だからもらった手紙を、どう受け止めればいいのかわからなかったのだと思います。捨てるなんて考えもしませんでした。むしろ、何度も読み返しては、彼女が書いてくれたことに少しずつ追いつこうとしていました。いつも手の届くところに置いたのは、そばに残しておきたかったからです。