
新しい恋の相談だと言って元カノを呼び出した俺が、無意識に注文していたもの
彼女が応援してると言って出ていったあと、氷のないグラスが半分残りました。引き止めなかった理由を、俺はうまく説明できません。区切りをつけに来たはずだったのに。
注文の段階で、もう答えは出ていました
彼女が来る前、俺は飲み物を二つ頼んでいました。自分のコーヒーと、彼女のジンジャーエールを氷なしで。炭酸が抜けるのが苦手だと、昔いつも言っていたからです。考えるより先に口が動いていたことに、注文してから気づきました。席についた彼女に、確かめるように声をかけました。「ジンジャーエール、氷なしでよかったよね」。彼女の表情が、ほんの少しだけ緩みました。その顔を見て、用件を切り出す自信が揺らいでいきました。
新しい恋の相談は、半分は口実でした
新しく気になる人がいるのは本当です。けれど一緒にいるたびに、俺はその人を彼女と比べてしまいます。本当に区切りがついたのか確かめたくて、相談という名目で彼女を呼び出しました。「新しく、好きな人ができたんだ」「相談に乗ってほしくて」。口にした自分が、ひどく身勝手に思えました。傷つけるかもしれないと分かっていて、それでも会いたかっただけなのです。