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    あのコの恋愛事情-ネイルサロンのないしょ話 #女はケダモノ 編

    2022-11-18

    女の子

    皆さんこんにちは。15万本以上の爪を施術してきたネイリストでスキンケアカウンセラーの川上あいこです。ネイルサロンは不思議な空間。手を握り合ったまま過ごす約2時間。
    手を握り合っているからなのか、リラックスした密室空間がそうさせるのか、秘密の内緒話しを打ち明けて下さる方がとても多い場所でもあります。
    親しいのに友人関係ではない。もしかしたら来月は会わないかもしれない。
    近くて遠い関係だからこそ、プライドも恥もなく自分の真っ黒な本心さえも吐き出せてしまうのかもしれない。
    そんなサロンワーク中のみんなの恋のお話を切り取ってお送り致します。
    ※許可を頂いたものだけ掲載しています。
    ※個人を特定できる情報が含まれないよう職業等にフィクションも織り交ぜています。ご了承ください。

    女はケダモノ

    「オンナも結局、獣(けだもの)なんだよね。」
    “けだもの”っていう単語を久しぶりに聞いたな、と思いつつ、そのままお客様の話に耳を傾けてみる。
    「あんなに好きで、やっと付き合えたのに、もっと優秀な遺伝子を見つけるとそっちに行きたくなっちゃうのは女の性(さが)なんだってさ。」
    浮気を重ねてしまう女性って少なからず存在する。
    本命の彼もいるのに、時々第二候補も現れるなんて羨ましい出会い運だけれど、その相手がこれまたいい男だったりすると、ついつまみ食いしてしまう、つい色んな相性を調べてしまう、それって本能のなせる技らしい。
    「毎回“この人が運命の人に違いない”て思い込むのに、運命の相手だと思った相手との別れを繰り返す内に、そもそも運命なんてないんじゃないかとすら思えてくるんだよねぇ。」
    「あるんですかね?運命って」
    確かに、そこは私も疑問だ。
    「今の彼に不満があるわけじゃない。むしろ、浮気してみて“やっぱり今の彼の方がいいな”て、思うばかりなんだけど、それでもまた“ビビビッ”と出会っちゃう時があるから困っちゃうんだよねぇ。」
    「彼にバレたら許してくれないでしょうし、結構リスキーですよね。」
    「そうなんだけどさ。女の嘘って上手だからかあんまりバレないよね。なんでだろう?
    可憐なフリして、無垢な目をして、三歩後ろ歩きながらさ、実は優秀な遺伝子の臭いを常にクンクン探してるなんて、なんか野獣みたいだよね、オンナって。ケダモノだ(笑)」
    「怖い(笑)でも、確かに女性の嘘はバレないですね。冷静な顔で堂々と嘘つくのも上手。」
    「みんな女優だよね(笑)」
    お互いに、数々のオンナ友達の顔を思い浮かべて、つい納得してしまう。
    オンナが女優を演じる時、それは多分“ケダモノ”部分を隠す時だ。
    「よく、男の浮気は本能だっていうけど、女の浮気の方が多くない?“優秀な遺伝子を残したい”ていう本能なら、常に優れた遺伝子を求めてしまうのは仕方ないし、優秀な遺伝子の為なら女優にもなれちゃうのかもね。」
    「じゃあ・・・結局、浮気は”人間の本能”てことですかね。」
    「そうなの。どんどんいい相手と出会っちゃうのに、1人だけなんてなかなか選べないんだよね。」
    「でも、今日も彼が迎えに来てくれるんですよね?優しい遺伝子いっぱいじゃないですか。」
    毎月、ネイルサロンに送迎してくれる優しい彼の顔が浮かぶ。
    「来るけどさ。みんなはどこで”この人でいい”て決めるんだろう?これ以上優秀な遺伝子はない、て見極めるんだろう?結婚してから、もっと優秀な遺伝子と出会っちゃったらどうすればいいの?」
    「結婚は契約なので、もっといい遺伝子に出会ったら婚姻関係を解消するしかないですね」
    「でも、それって×がつくんでしょ?それは嫌だなぁ。」
    「そうやって選び悩んでる間に、どんどん他の女性にいい遺伝子を取られていくパターンになっちゃますよ(笑)」
    「じゃあ、そろそろ決めようかなぁ(笑)この辺で」
    今日も彼は、サロンの前で彼女を待っている。遺伝子比べの話しをされていることなど知らずに、彼女の浮気も知らずに彼女を待っている。かわいい仮面の裏にある、彼女の「ケダモノ魂」を上手に隠して、彼女は今日も彼の為にかわいらしく笑うのだ。だって女優だからね。
    オンナはケダモノ。化粧は薄くてもケダモノ性を隠す仮面はけっこう分厚いかもしれない。

    おわりに

    「優秀な遺伝子」とやらの基準は、人それぞれなのだろうけれど、「この人の遺伝子残したい!」そう思う本能ってやっぱりあるらしい。
    筋肉質や、胸板や、背の高さ、頭の良さや、人の良さ、自分がどの遺伝子を「優秀」と感じるかは千差万別だと思うけれど、本能で求めてしまうならそれも仕方がないことにも思える。
    とはいっても、ケダモノ認定よろしく全ての遺伝子を産み残すわけにはいかないわけで、
    そこは「理性」にも頑張ってもらうしかない。
    世の中には、男性であっても女性であっても「浮気はしない」派もいれば「浮気は仕方ない」派もいる。時々、論争をも生む「浮気問題」。
    浮気をしてしまう人、浮気を許してしまう人は本能が強くて、浮気をしない人は理性が強い人だとしたら、そりゃお互い分かり合えるわけがないな。
    「浮気は男の甲斐性」なんて言葉が残っているわりに、大奥の時代から女の浮気も物語になっていたりする。
    多くの子種を残したいと願う男。優秀な遺伝子をたくさん産み残したいと願う女。
    原始時代からみたら「人間を増やすこと」が営みの目的だったわけだから、一夫一妻制の「婚姻関係」こそが実は人間の本能にそぐわないものだったりするのかもしれない。
    (川上あいこ/ライター)

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