
「その話、発表でやってみたら」勧めた僕が彼女の発表で→拍手より先に逃げた情けない理由
いざ彼女が話し始めると、なぜだか僕は落ち着いて座っていられませんでした。
あの発表を勧めたのは、僕でした
同じ会で、彼女はいつも聞く側にいる人でした。話すのが得意ではないと言っていましたが、僕は前から、彼女の話には聞かせる力があると思っていたんです。そのテーマなら彼女しかいないと、つい口にしました。
「その話、発表でやってみたら」
それから当日まで、僕はその発表を、自分のことのように待っていました。
拍手の輪に、僕は加われませんでした
話し始めた彼女は、僕が想像していたよりずっと堂々としていました。聞いているうちに、自分でも戸惑うくらい、その人のことばかりを目で追っていたんです。このまま拍手の輪に加わったら、隠してきた気持ちが全部、顔に出てしまう気がしました。
だから僕は、拍手が起きる前に席を立ったんです。情けない話だと、自分でも思います。出入口で一度だけ振り返りましたが、彼女は次の準備で下を向いていて、僕の方は見ていませんでした。