
7年間、荷物の返事は「届いた」だけだった息子。送られてきた1枚の画像と「筑前煮、うまかった」
画像の下には、息子からの短い一行が続いていました。何年も待っていたその言葉を読み返すうちに、お礼を伝えたい相手は息子ではないと気づいたのです。
7年分の「届いた」
息子が就職で家を出て、7年が経っていました。季節が変わるたびに手料理を詰めて送ってきましたが、返ってくるメッセージは決まっていました。
「届いた」
それ以上は何も続きませんでした。手紙に何を書いても、返事がきたことはありません。冷蔵庫の奥で古くなっていく煮物を想像しては、詰める量を少しずつ減らしてきたのです。
今回の荷物にも、数日後にやはり「届いた」とだけ返ってきました。
息子から送られてきた1枚の画像
しばらくして、息子から画像が1枚届きました。息子と誰かのやりとりを写したものです。
「お母さんの筑前煮、味がしみてて本当においしかった!」
相手は、一度だけ家に連れてきた彼女さんでした。続きには「普通じゃないよ。箱に毎回手紙も入ってるんでしょ?ちゃんと返事してる?」とあります。
手紙のことを、息子は彼女さんに話していた。読まずに捨てられていると思っていた便箋は、少なくとも開かれていたのです。
画像の下に、息子の言葉が2通続きました。
「これ、彼女とのやりとり」
「筑前煮、うまかった」
画像の最後は、彼女さんの「それだけ?おいしかったって一言くらい言ってあげなよ」と、息子が返したうなずくクマのスタンプ。息子の「うまかった」は、その一言に押されて届いたのです。何度も読み返しました。