
会えない夜、彼女から届いた「寂しい」の3文字。「証拠は?」と返されて、俺が引き出しからそっと取り出した一通の便箋
俺はたぶん、口下手な部類の人間です。3年付き合った彼女にさえ、甘い言葉の1つも言えない。それでも伝えたかったあの夜、机の引き出しを開ける指が、ほんの少しだけ迷いました。
届いた「寂しい」の3文字
残業帰り。アパートに着いてスーツの上着を椅子にかけた瞬間、スマホが鳴りました。画面を見ると、彼女からのメッセージ。「今日会えないの寂しい」。
彼女は、こういう言葉を滅多に送ってこない人です。いつも「大丈夫」「気にしないで」と先回りして、弱音を飲み込んでしまう。その彼女が「寂しい」と伝えてきた。それだけで、こちらの胸の奥にも同じ気持ちが広がっていくのを感じました。
考えるより先に、指が動きました。「俺も」。送ってから、これでよかったのだろうかと少しだけ不安になったのです。普段こんな返事をしないから、軽く見えたかもしれない。そう思っていた矢先、彼女からの返信が届きました。
「嘘じゃない」と言える言葉の軽さ
「嘘でしょ」。画面に浮かんだ文字に、思わず苦笑いしました。俺がこういうことを言うと、彼女はいつも半信半疑になるのです。
「嘘じゃない」。反射的にそう返しました。でも、テキストで打った文字は、どうしても軽く見えてしまう。本当に嘘じゃないのに、その重さが伝わらないもどかしさが、胸にじわりと残ったのです。
少し間があって、「証拠は?」と届きました。おそらく彼女は冗談のつもりで送ってきたのだと思います。でも俺にとっては、不意を突かれたメッセージでした。