
夫のスマホに浮かんだ「本日14時、面接」→転職を隠していた訳は、私の実家の近くの求人でした
問い詰める文を消して送った短い問いに、夫から返ってきたのは言葉ではなく1枚の画像でした。勤務地の欄に並んでいたのは、私のよく知る町の名前でした。
予定の名前を、私は口にしませんでした
通知には「本日14時、面接」とありました。夫は営業職で、結婚して4年、転職の話は一度も出たことがありません。髪を拭きながら出てきた夫はいつもの背広を着て、いつもと同じ「いってきます」を残して玄関を出ていきました。私は洗い物をしながら、通知の文字を頭の中で何度も読み返しました。聞けば済むことでした。それでも、聞いた先に何が出てくるのかを想像すると、食器の水を切る手だけが動いていました。
既読がつくまで、何度も打ち直した問い
職場に着いてから、私は「今日、帰りは何時くらい?」とだけ送りました。返事は数分で「少し遅くなるかも」と届き、そこまではいつもどおりでした。予定の時刻を過ぎてから送った「お疲れさま。今どこ?」には、既読がつきませんでした。画面を伏せては裏返し、その繰り返しで休憩が終わりました。今頃、知らない会議室で名前を呼ばれているのだろうか。それとも、私に言えないような場所なのだろうか。悪いほうの想像ばかりが先に立ちました。既読がついたのは、退勤の支度を始めたころでした。私は問い詰める文を打っては消し、最後に残ったのは「面接、どうだった?」の短い問いだけでした。