
1通に3日かけていた僕が、彼女と会ったあと「了解」しか送れなくなった理由
アプリの下書きに何日もかけていたことを、彼女に言うつもりはありませんでした。改札の前で、彼女が責めない声で理由を聞くまでは。
1通に3日かけていたことは、言わないつもりだった
マッチングアプリで彼女とやりとりを始めてから、僕は1通に3日かけていました。書いては消し、順番を入れ替え、外した文を戻しました。アプリの下書きは送るまで誰にも見えません。その猶予に助けられていました。
「行きたい店を3軒くらい調べました。どこでも合わせます」
この1通も、3日分の書き直しの末に残ったものです。返事が届いてからは、次の書き出しを考えるのが日課になりました。
初めて会った日、彼女は僕が書いた文章の細かいところまで覚えていました。駅までの道で連絡先を交換したとき、練る場所がなくなると気づきました。
返事の早い彼女に、僕は追いつけなかった
チャットに移ってからは、開いた時点で読んだ形跡がつきます。考えている間、彼女の画面にはその印だけが残りました。それが耐えられませんでした。
彼女の返事は早く、内容もまっすぐでした。同じ量を書こうとして、残ったのは「ありがとう」でした。次の1通も「了解」で送りました。
今までも、文章のうちは続いて、会うと終わっていました。3度目です。長く書けば、会う前と同じ人ではないと知られてしまう。そう思うたびに、送る前の文章を短く削りました。
そのうち彼女の文章も短くなりました。離れていくのはわかっていて、それでも僕は短い返事を重ねました。嫌いになったわけではありません。逃げていただけです。