
「ただの目印だよ」とはぐらかした俺→その数字は二人で過ごした日の、消せない名残だった
「ただの目印だよ」そうごまかした番号には、本当は二人だけにわかる意味があったのです。それを口にできないまま、俺は彼女の不安に気づけずにいました。
同じ鍵が二本、見分けがつかなかった
彼女のために、合鍵を一本つくりました。受け取りに来た彼女に「これ、合鍵」と渡したのが、その鍵です。俺がいつも使っている鍵とまったく同じ形なので、二本並べると自分でもどちらがどちらか怪しくなります。だから、片方に印をつけることにしました。
彼女に手渡すときには「同じ鍵だと、どっちがどっちかわからなくなるから」と説明したつもりです。実際、それは嘘ではありませんでした。
札の番号に、ひとつだけ意味を込めた
つける番号は、適当な数字にはしたくありませんでした。選んだのは、初めて二人で出かけた日に荷物を預けたロッカーの番号です。7番。彼女は覚えていないかもしれませんが、俺にとっては忘れられない数字でした。
札をつけたのは、彼女の鍵のほうです。俺の鍵には何もつけませんでした。彼女が鍵を手に取るたび、いつかこの番号に気づいてくれたら。そんな期待を、口には出せませんでした。