
彼女に誤って送った「好きだけどごめん」の、本当の宛先と理由
送ったあとで、宛先の名前が違うことに気づきました。慌てて取り消そうとしても、彼女はもう読んだあとでした。送るつもりだった相手は、いつもの釣り仲間です。
消したのは、やましさからではなく
「ごめん、今の誤送信」
そう送り直しながら、俺は元の一行を消しました。やましいことがあったからではありません。あの言葉の続きを話せば、彼女に隠していた計画まで、たどり着かれてしまう気がしたのです。釣りの誘いを断り続けていた理由は、まったく別のところにありました。
聞かれても、答えをはぐらかした
「誰に送るつもりだったの」
彼女のその問いに、俺は「ほんとに何でもないから」とだけ答えました。本当のことを言えば驚かせてしまう、その一心でした。けれど、はぐらかすほどに、彼女の表情はかげっていきました。釣りの道具を出しておきながら誘いは断り、彼女には友人と会うとだけ伝えて出かける。行き先を濁していた俺を、彼女がどんな気持ちで見送っていたのか。今になって、ようやくわかります。