
お土産を待っていた私に後輩が見せた、分厚い引き継ぎ資料
「そういうことじゃないんだけど」。とっさにそう返した自分の言葉を、後輩が連休から戻ったあとも、私は何度も思い返しました。
私が教わってきた礼儀
隣の席の後輩が4日間の連休を取った間、彼女宛ての問い合わせは私が受けていました。自分の仕事の合間に受話器を取り、内容を書き留めて机に挟む。その繰り返しでした。私が新人だった頃の職場では、休みをもらった人が明けにお菓子を配るのが当たり前で、それはカバーしてくれた人へのお礼だと教わってきました。だから休み明けの給湯室で、手ぶらでお礼だけを言いに来た彼女に、私は言いました。「休んだんだから、お土産くらい買うでしょ」。どこにも行っていないと聞いても引っ込みがつかなくて、私は湯のみを持ったまま席へ戻りました。
言えなかった本音
席に戻ってからも、自分の言い方が引っかかっていました。求めていたのは、自分が代わった分を、何か目に見える形で労ってほしい、という気持ちでした。それでも「お礼をしてほしい」と正面から言うのが気恥ずかしくて、お土産という分かりやすい形に押し込めたのだと思います。それでも私は、自分が教わってきた礼儀のほうを疑えずにいました。