
タメ口の下書きを毎回消して敬語で送り直していた僕、挨拶のない短い質問が届いた夜、初めて消さずに送った文
打ち終えたばかりのタメ口の文面を、僕はまた指先で選択して、消しました。挨拶のない短い質問が届いたとき、僕は言い訳の敬語を途中でやめました。書き直してばかりいた理由を、初めてそのまま送ることにしました。
2度作られるメッセージ
写真のSNSで彼女と知り合い、やりとりがメッセージ機能に移ってからも、僕の癖は続いていました。最初に浮かんだままの文を打ち、いったん全部消して、敬語で組み立て直す。書き出しは決まって「お忙しい中、ご返信ありがとうございます」でした。予測変換の候補には、僕が消してきた言い回しばかりが並んでいました。彼女の写真の感想を伝えたいだけなのに、送信ボタンを押す前に、失礼な箇所がないか何度も読み返しました。
崩せなかった理由
前に、別のSNSで仲良くなった相手がいました。うれしくなって距離を詰めた僕のメッセージは、ある日を境に開かれなくなりました。「軽い人だと思わなかった」。それが最後に届いた言葉でした。またあの終わり方をするのが怖くて、僕は彼女のくだけた言い回しに気づいても、同じ温度では書けませんでした。拒まれるのが怖いだけの、ただの逃げでした。それでも、やめ方がわかりませんでした。大事にしたい相手ほど、文章は硬く、長くなっていきました。