
「さっきの投稿、消してもらえない?」記念日の写真を載せた私が、彼の本音を知るまで
既読のまま入力中の表示が出ては消える画面を見つめながら、私は彼のフォロワーの中に誰かがいるのだと決めかけていました。届いた長い文面に書かれていたのは、別の話でした。
玄関で鳴った通知
彼は自分のSNSに、数えるほどしか投稿しない人でした。それでも今日の写真だけは載せたくて、店で私が「1枚撮ってもらっていい?」と聞くと、彼は「いいよ」と答えていました。投稿には彼のアカウントも付けました。見てくれたら、きっと嬉しいはずだと思っていました。
自宅の玄関を開けたところで、メッセージの通知が鳴りました。彼からです。
「さっきの投稿、消してもらえない?」
私は靴を脱ぐ前に「なんで?」と返しました。既読はすぐに付いたのに、返事が来たのは数分後でした。
「ちょっと、載るの苦手で」
苦手なら、店で聞いたときに言ってくれればよかったのに。そう思いながら、私は投稿画面を開き直しました。付いていたいいねの数を、意味もなく数えました。
既読のまま止まった画面
私はコートを着たまま、キッチンの床に座って文面を打ちました。
「私と付き合ってるの、誰かに見られたら困るってこと?」
送ってから、言い過ぎたかもしれないと思いました。それでも消しませんでした。既読が付き、入力中の表示が出ては消え、また出ては消えました。今頃、彼は言い訳を探しているのだろうか。私に見られたくない誰かが、彼のフォロワーの中にいるのだろうか。元の恋人か、職場の誰かか。想像は勝手に広がって、冷蔵庫の音を聞きながら、まだ届かない返事を待ちました。
投稿を消せば済む話なのは分かっていました。でも消してしまえば、1年の記念まで、なかったことになる気がしていました。