
言葉が下手な俺が、落ち込む部下へのメッセージに選んだ1通
先に届いてしまったのは、娘に教わったずっこけるくまのスタンプ1個。誤送信だと思われる前にと、俺は指を動かし始めました。
いつも通りのつもりだった
部下が取引先への添付漏れを報告してきたのは、俺が先方との電話を終えた直後でした。彼女の「このたびは申し訳ありませんでした」に、俺は「確認しておきます」とだけ返しました。もともと長い文章を書くのが得意ではなく、俺にとってはいつも通りの返信のつもりでした。ただ責任感の強い彼女は抱え込んでしまうかもしれないと思いました。
娘に教わったスタンプ
家で娘にスタンプの送り方を教わったのは、その頃でした。一覧の中に、両手を上げてずっこけるくまがいました。難しい顔で文章を練るより、こういうものが人を楽にすることもあるのかもしれません。俺は部下との画面を開き、練習のつもりで選んだそのくまを、勢いのまま送っていました。送信済みの表示を、俺は取り消せないまま見つめていました。業務連絡しか並んでいない画面で、これは誤送信にしか見えません。