
「美容師って、この先も食っていけんの」恋人を値踏みした兄へ、私が台所で抗議した
台所で抗議しても、兄は態度を変えませんでした。納得のいかないまま帰った数日後、私のスマホに届いたのは、兄からの1通のメッセージでした。
値踏みするような最初の質問
実家の夕食に、付き合って2年になる彼を招いた日のことでした。母は取り皿を客用のものに替え、父は缶ビールを2本余分に冷やして待っていてくれました。遅れて席に着いた兄は、名乗った彼と目を合わせないまま箸を取り、しばらく黙って食べていました。彼が美容師だと伝えた直後です。「美容師って、この先も食っていけんの」。とりなすように母が笑いましたが、兄は湯のみを置いて、彼の返事を待つ姿勢を崩しませんでした。私は取り皿を持ったまま、兄の横顔を見ていました。
台所で言い返した私
質問はそれで終わりませんでした。「その時計、自分で買ったの」。店の家賃の相場、貯金の額。踏み込んでいく兄の口ぶりは、まるで面接官のようでした。隣で父が話題を変えようとしても、兄は乗りませんでした。それでも彼は背筋を伸ばし、「3年後までに独立の資金を貯めます。届かなければ、計画を立て直すだけです」と答えました。私は箸を置き、お茶を替えに立った兄を追って言いました。「さっきから彼に失礼だよ」。返ってきたのは「事実を聞いてるだけだろ」で、兄は急須だけ持って、先に居間へ戻っていきました。