
彼女の誕生日に毎年日用品を贈ってきた俺の理由
テーブルにプレゼントを置いて「はい」と言ったあと、俺は彼女の若干固い笑顔を見ました。彼女が席を立ったあの瞬間、俺には何かが足りなかったことだけは、分かっていました。
メモしていた言葉
彼女と付き合って5回目の彼女の誕生日でした。何を贈るか、一か月前から考えていました。俺のメモ帳には、彼女がここ最近、日常会話で言っていた言葉が並んでいます。
「このハンドソープ高くて買えないな」「柔軟剤って種類ありすぎてよくわからない」「洗剤そろそろなくなりそうで面倒」
全部、ちゃんと書き留めていました。だから今年のプレゼントは洗剤と柔軟剤とハンドソープのセット。彼女が「これ欲しい」と言っていたブランドのものを、店で一つずつ確認して選びました。
「…ありがとう」の間
「はい」と言って紙袋を渡すと、彼女は中身を取り出しました。
「…ありがとう」
短い返事でした。笑顔で席を立って、キッチンのほうへ向かいました。それで十分だと思っていました。でも何度も思い返すと、自分でも気づいていたのです。彼女の「ありがとう」は、いつもより間が長かった。笑顔は作ったような形をしていた。
「毎日使うやつだから」
そう言ってフォローしようとして、でも何かが足りないのは分かっていました。