
同棲をはぐらかし続けた俺が→彼女には言えないまま、紙袋にこっそり詰め込んでいたもの
彼女の誘いをはぐらかすたび、俺は申し訳なさでいっぱいでした。言葉より先に、同じ未来を見ていると証明したかったのです。最後に見た彼女の表情が、今も忘れられません。
言えなかった本当の気持ち
彼女が「一緒に住まない?」と切り出すたびに、俺は「んー、まだいいかな」とごまかしていました。本当は、その言葉が何よりうれしかったのです。けれど、まだ何も整っていない部屋を見せるわけにはいきません。きちんと整えてから、いちばんいい形で渡したい。その思いだけで、口が重くなっていました。
紙袋が増えていったわけ
新しい部屋に置くものを、休みのたびに少しずつ買いそろえていました。彼女が好きそうな色のカーテン生地、二人で並んで使える大きさのランプ。どれにするか迷うほど、紙袋だけが俺の部屋の隅にたまっていきます。隠すのが下手で、彼女が来るたび、中を見られはしないかと気が気ではありませんでした。
部屋の隅に固まっていた紙袋は、ついに部屋の真ん中にある机の上にまで及ぶようになっていました。しかし、彼女にばれたくない一心で、紙袋について聞かれても「なんでもない」と言ってその場を収めていました。