
「あと5分」を10回送った私に、彼が言った言葉と、私の返し
いつも遅刻ぎみの私が、彼を待たせた土曜の夜。「お前の5分は信用できない」と言われた私から、自然に出た返しで彼が笑った、ある日の出来事です。
「あと5分」を送り続けた夕方
その日は仕事終わりに一度家に寄って、夜のデート用に着替えるつもりでした。けれど着替えを選ぶのに迷い、化粧を直し、寄り道で目に入ったお店をのぞいているうちに、気づけば待ち合わせの時刻まで残り15分しかありませんでした。
慌てて駅に向かいながら、彼にメッセージを送りました。
「あと5分で着く!」
本当にそのつもりだったのです。けれど信号に引っかかり、電車が遅れ、改札を出てからも人混みで思うように進めません。
そのたびに私は「あと5分で着く」と送りました。気づけばその短いメッセージを、10回近く送っていたのです。
駅前で彼が放ったひとこと
ようやく待ち合わせ場所のオブジェ前に着いたとき、時計は約束の時刻から38分を回っていました。彼は腕を組んで立っていて、私を見ても表情は変わりません。
「ごめんね、本当に」と頭を下げる私に、彼は穏やかな声でこう言いました。「お前の5分は信用できない」
責めるような口調ではなく、どこか諦めたようなトーンでした。けれど「信用できない」という言葉だけが妙に重く、私の心に引っかかります。私のせいで彼の機嫌を損ねてしまったと、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。