
母とペットショップで見た柴犬。「あの子可愛いよね」の一言が彼女を2分間悩ませていた話
母と週末に買い物に行くのが昔からの習慣で、その日もいつも通りの土曜日でした。けれど何気なく彼女に送った一通のメッセージが、その後の彼女の2分間を大きく揺らしていたとは、そのときの僕は知る由もなかったのです。
ペットショップで足が止まった
その日、僕は母と二人で、実家近くの駅前ショッピングモールに来ていました。母の冬物のコートを買うのが目的で、午後はそのまま近所のカフェで休もうという、何の変哲もない予定でした。
買い物を終えて1階に降りると、ペットショップの前を通りました。ガラスケースの中で、柴犬の子犬がころんと丸まって眠っているのが目に入ります。ふわふわの背中、小さな前足。彼女が前に「いつか犬を飼いたい」と言っていたのを思い出して、僕はスマホを取り出しました。
「あの子可愛いよね」深く考えずに、ひとことだけ送りました。写真は、そのあとに撮って送るつもりだったのです。
母に話しかけられて、写真を送り損ねた
メッセージを送ったあと、ガラスに近づいて写真を撮ろうとしました。そのときです。
「ねえ、この子と柴犬、どっちが大きくなるのかしらね」
母が、隣のケースの子犬を覗き込みながら話しかけてきました。母は犬好きで、店員さんに性格や育てやすさを尋ね始めます。
写真を撮るのをすっかり忘れていたのです。話が一段落して、ようやくスマホを取り出したとき、メッセージを送ってから2分くらい経っていました。慌てて柴犬の写真を撮り、「犬の話なんだけど。実家の近くのペットショップで柴犬見てきたから、写真送るね」と続けて送信しました。
彼女からはすぐに笑顔のスタンプと、「びっくりした、誰のこと言ってるかと思った」という返信が届いたのです。