
「大事な話がある」と送った俺が、最後まで送れなかった一文
異動を打ち明けた直後、彼女から届いたのは思ってもいなかった本音でした。用意していた続きの一文を、俺は送る前に消しました。
言えないまま短くなった返事
3年付き合っている彼女とは、別々に一人暮らしをしています。福岡への異動の内示が出たのは2か月前。正式な辞令が出るまでは口外しないよう言われ、彼女にも伝えられずにいました。
メッセージを打てば、つい書いてしまいそうになる。だから返信は、なるべく短くしました。「ごめん無理そう」と送った休みの日は、家で引き継ぎの資料を作っていました。会えば顔に出る気がして、約束も2回続けて断りました。
言えないことを抱えたまま、平気な顔をする自信がなかった。自分の都合ばかりで、彼女に何を我慢させているのかまでは考えていませんでした。
一行だけの前置きと、その続き
辞令が出たその日、帰宅してすぐに彼女とのトーク画面を開きました。
「大事な話がある」
送ってから、ずいぶん重い前置きになったと気づきました。10分近くたって届いたのは、短い返事です。会ってから話すつもりでしたが、これ以上待たせるわけにはいきません。異動のことを2通に分けて先に送りました。
本当に伝えたかったのは、その続きです。
「一緒に福岡に来てほしい」
入力欄に打ったものの、送信ボタンに触れる前に迷いが出ました。彼女の返事を先に待とう。そう決めた直後に、メッセージが届きました。
「実は私、別れようって言うつもりだった」