
送る前に7枚撮り直していた俺が、彼女に見せたくなかった席の相手
彼女から届いたのは、責める言葉ではない短い一言でした。彼女のメッセージを読んだあと、俺は返事を書いては消していました。怒られることより怖いことが、俺にはありました。
座ってしまった席
共通の友人に呼ばれた集まりで、元カノが来ると知ったのは店に入ってからです。帰る理由なんていくらでも作れたのに、俺は空いていた席に座りました。席は端から順に埋まって、元カノは俺の向かいになりました。ここで立てば場の空気が変わる。そう考えた時点で、彼女に送る言葉は決まっていたと思います。
映り込みが消える角度
撮った写真を見返すと、後ろの窓に向かいの席が映り込んでいました。テーブルの端に寄って撮り、少し傾けて撮り、ジョッキを手前に寄せて撮りました。7枚目でようやく映り込みが画面の隅まで下がり、これなら分からないと判断しました。「男友達と飲んでる!」と書き添えたのは、聞かれる前に済ませておきたかったからです。元カノとは、取り皿を回したときに久しぶりと言い合っただけでした。その一言を先に伝えれば済んだのに、俺が先に直したのは写真の角度のほうです。