
「焼けすぎて誰かわからなかった笑」彼の前で同級生を笑った私が、写真を消した理由
冗談のつもりで放った一言に、周囲からも笑い声が重なりました。それでも、彼だけは笑っていませんでした。グラスを置いて話し始めた彼の横顔を、私は最後まで、まっすぐ見ることができませんでした。
高校の教室から続くもの
高校で同じ委員になった時から、私は彼を目で追っていました。同じクラスだった彼女は笑い方がきれいで、男子の輪でよく名前の出る人でした。放課後の教室で、彼女の描いた文化祭のポスターを彼が褒めるのを、私は自分の席から聞いていました。卒業してからも、SNSで彼女の近況を確かめる癖が抜けませんでした。同窓会の当日、私は入口が見える席に座りました。
冗談の形をした先制攻撃
入口に彼女が現れた時、真っ先に動いたのは彼の目でした。私はテーブルの下でスマホを構えて、彼女を写真に収めました。あとで、からかいの一言を添えて載せるつもりでした。近況の順番で彼女がプールの監視の話をすると、彼が身を乗り出すのがわかりました。気づけば私はグラスを持って、彼女の席の前に立っていました。「久しぶり」。手を振りながら口にした声は、思ったより大きく響きました。「焼けすぎて誰かわからなかった笑」。笑いながら言ったのは、彼に聞かせるためでした。「仕事で、どうしても焼けちゃって」。彼女の返事は、終わりのほうが聞き取れないくらいでした。「日焼け止めくらい塗ればいいのに」。言い終えた私は、横目で彼の席を確かめていました。