
「私の物、勝手に動かさないで」ルームメイトを問い詰めた私が、途中で口を閉じた理由
動かしているのはあなたでしょうと迫った夜、返ってきたのは掃除の話ではなく、彼女の実家の台所で起きかけたことでした。聞き終えた私は、入れ物を棚に戻せずにいました。
定位置から動いている
2人で暮らすシェアハウスに移って、半年がたっていました。ルームメイトは同い年の看護師で、顔を合わせれば軽口を言い合える相手です。
私は料理が好きで、よく使う木製の塩と胡椒の入れ物をコンロの横に並べるのが習慣でした。それなのに、彼女の休みを挟むたび、入れ物は決まって棚の隅へ移動しているのです。掃除のついでに戻し忘れただけだろうと自分に言い聞かせて、私は黙って入れ物を元の場所へ戻していました。
1枚のメモ
動かされるのは、入れ物だけでした。マグカップも観葉植物も、置いた場所から一度も動いていません。私は棚に「ここが定位置です」と書いたメモを貼りました。
それでも次に見た時には、メモの真下から入れ物が消えて、隅に寄せられていました。読んだうえで動かしている。そう考えると帰宅のたび、先に棚の隅を確かめる癖までついていました。