
「ありがとう、素敵なお店だね」と言い続けた、記念日の私の本音
彼が2年続けて予約してくれたのは、チーズ料理で有名なイタリアンでした。私はイタリアンが好きです。けれど、チーズだけはどうしても食べられません。「ありがとう、素敵なお店だね」と言うたびに、伝えられない本音だけが残っていきました。
去年と同じ店でした
付き合って2年目の記念日、彼が予約してくれた店に向かいました。案内されたのは、去年と同じチーズ料理で評判のイタリアンです。店内は落ち着いていて、彼が一生懸命選んでくれたことは分かりました。
席に着いてメニューを開くと、パスタにもリゾットにも前菜にも、チーズを使った料理が並んでいました。私はチーズが苦手です。イタリアンは好きでも、チーズの香りが強い料理だけは食べられません。
彼は「去年、気に入ってくれてたよね」と笑いました。私は「うん、素敵なお店だね」と返しました。去年も、同じように言ったことを思い出しました。
言えなかった苦手なもの
私はサラダとスープ、パンを選びました。彼はチーズの料理を楽しそうに食べていました。私の皿を見て「軽めでいいの?」と聞かれましたが、私は「うん、大丈夫」と答えました。
本当は、その場で言えばよかったのだと思います。チーズが苦手なこと。去年もあまり食べられなかったこと。イタリアンが嫌いなわけではないこと。
でも、記念日のために選んでくれた店で、いまさら言うのが怖くなりました。彼を責めたいわけではありません。ただ、言わないまま笑うほど、来年も同じ店になるかもしれないという不安が残りました。