
友人の前で彼女を「ただの知り合い」と言った俺→その場でごまかした事情
席を立った彼女の背中を、黙って見送ることはできませんでした。とっさに出た「ただの知り合い」を取り消したくて、廊下で追いついて画面を差し出したのです。
伏せておきたかった理由
付き合いはじめてすぐ、俺は彼女に「もう少しだけ、誰にも言わないでほしい」と頼みました。隠したかったわけではありません。仲のいい友人たちには、場を整えてきちんと紹介したかったのです。そのための店も、数日後に予約してありました。集まりで料理を回しながら、彼女の紙皿にだけ多めにのせてしまったのは、我ながら脇が甘い動きでした。
とっさに出た、ただの知り合い
取り皿を回していたとき、向かいの友人が顔を上げて言いました。
「もしかして、ふたり付き合ってる?」
全員の視線がこちらに集まりました。きちんとした紹介の場を用意しているのに、ここで茶化されて終わるのは違う。その焦りだけで、俺の口は勝手に動いていました。
「いや、ただの知り合いだよ」
言い終えた先に、彼女が取り皿を持って席を立つのが見えました。