
「今さら大学なんて」と笑った夫が、私の卒業式の日に用意していたもの
テキストを覗き込んだ夫に「あなたには、どうせわからない」と返した日から、家の中で学びの話は消えました。4年目の春、私は1人で式に向かうつもりでした。
食卓に広げた募集要項
私は40代の事務パートで、子どもが手を離れたのを機に、通信制大学で学び直すと決めました。4年前、食卓に募集要項を広げて夫に伝えると、返ってきたのは「今さら大学なんて」という笑いまじりの一言でした。学費は自分のパート代から出すこと、家のことは今までどおりにすること。それだけを言い切って、私は募集要項を引き出しにしまいました。夫はそれ以上なにも聞かず、テレビに目を戻しました。
台所のテーブルが教室になった
反対を押し切ったといえば聞こえはいいのですが、実際はただの平行線でした。パートから帰って夕食を片付けたあと、台所のテーブルが私の教室になりました。レポートの締切前は、湯船より先にテキストを開く日もありました。試験のたびの有休と、乗り継ぎの電車。それが私の通学でした。あるとき、勉強中の私の背後に夫が立ち、テキストを覗き込む気配がしました。私は振り向かないまま「あなたには、どうせわからない」と返しました。足音が遠ざかり、それきり、この家で学びの話は出なくなりました。試験の日程も、提出の結果も、私は1人で抱えると決めたのです。