
洋服にコーヒーをこぼされ、店員に「弁償でしょ?」と迫った僕→その後、気づかされた過ちとは
外出先でのちょっとしたトラブル。誰にでも起こり得る、ほんのささいな出来事のはずでした。けれどその日、私は感情を抑えきれず、店員に声を荒らげてしまいました。その場では自分が正しいと信じて疑いませんでしたが、後になって振り返ったとき、胸に重く残ったのは怒りではなく、強い後悔でした。あの日の自分の姿は、今も忘れることができません。
限界だった日々
あの朝、上司に「お前の代わりなんていくらでもいるんだぞ」と言われたばかりでした。ここ数カ月、職場では連日クレーム処理に追われ、理不尽に頭を下げ続ける毎日。取引先に「使えないな」と言われても、上司は助けてくれない。むしろ「お前の対応が悪い」と追い打ちをかけてくる。自分が悪くなくても「申し訳ございません」と繰り返す日々に、心が削れていく感覚がありました。
妻には「仕事は順調だよ」と嘘をついていました。心配をかけたくなかったのもありますが、弱っている自分を見せたくなかったのが本音です。久しぶりの休日、妻と出かけたカフェで、ほんの少しだけ気持ちが緩んだ矢先の出来事でした。
あのシャツだったから
店員がコーヒーをこぼした瞬間、カッと血が上るのがわかりました。そのシャツは、誕生日に、妻が選んでくれたものです。「いつも頑張ってるの知ってるよ」と笑って手渡してくれた、あのときの妻の顔がよぎりました。
しかし、気づけば「これ、弁償でしょ?」と声を荒らげ、スマホを構えていました。妻にもらった大切なシャツを汚されたと思った瞬間、言葉を選ぶ余裕はありませんでした。
証拠を残して何が悪い。あのときの自分は、本気でそう思っていたのです。