
◇すべてを肯定で済ませる「同意女子」のタフさ
マチコ(以下マ): ワワワ、ちょっとサトコさん、見てくださいよ。(スマホの画面を見せる)
サトコ(以下サ): ヒロシ、コウタ、ユウジ……なによ、男子からのLINE多発じゃない。モテ自慢?
マ: 正確にはモテ自慢じゃないですね、実証自慢です。
サ: はぁ?
マ: 私、昨日行った合コンで、とある実験を試みたんですよ。普段のキャラをあえて120%封印して、ちょっとお鈍い「同意女子」に徹してみたんです。
サ: 同意女子?
マ: とにかく男子の言うこと全てに「同意」するんです。決して実行されないと皆が薄々分かっている「今度、このメンバーでBBQ行こうよ!」的な提案にも激しく同意です。「わ~、BBQ行きた~い!」って。
◇たとえ挨拶でもツッコんでしまう「反論女子」
サ: ねえ、聞いていい? なんでそんな実験してみたの?
マ: 一緒に合コンに行った子が、とっても美人なんですけど、何故か全くモテないんですよ。考えてみると彼女、常に人の意見に反論する「反論女子」だなって思って。だから、私はその対極の「同意女子」を演じて実験してみたわけです。
サ: 反論女子、ね。例えば?
マ: 「今日は暑いね」っていう、真夏日の朝の挨拶にも「そうかな?昨日よりはマシだと思う」って言うし、「これ、美味しいね」って言っても「うーん……ちょっと辛くない?」って感じ。
サ: あー、いるわね、そういう女子。枕詞に「そうだね」がなくて、常に「そうかな?」「うーん……」が付くと、話してて疲れるわね。ここぞという時に意見を主張するのはいいけど、常に否定癖がついてるとしか思えない子。
マ: そうなんですよ。彼女、案の定、その飲み会でも真っ向から反論しました。映画「君の名は。」観た?って話になって、彼女と私以外、全員観てたんですけど。
サ: まさか、観てもないのに反論した?
マ: そのまさかです。「あれってアニメでしょ? しかも東京と岐阜に住んでる男女が入れ替わるとか、有り得ないし。私、絶対観ない!」って、天下の新海誠もビックリのぶった斬りです。
◇多少のボロはご愛嬌
サ: 男子の白けた様子が目に浮かぶわ。で、マチコはどうしたの?マチコも観てないんでしょ?
マ: そこなんです。昨日の私は、なにせ「同意女子」ですから。観てない映画にだって、同意ですよ。「超いいよね~!切な過ぎ~」って抜け抜けと言ってやりましたよ。
サ: 怖!でも、ボロは出なかったの?
マ: ……出ました。皆が「瀧(タキ)君」て連発するから、ああ、これが主人公の名前だなって思って「もう、瀧君にキュン死~!『瀧マチコ』なんてね」って言ったら、「『瀧』って苗字じゃなくて下の名前だよ」、って。
サ: ガーン。
マ: 「でも、地方に住む男の子が、東京の女の子に憧れる気持ち分かるな~」って、必死に誤魔化そうとしたら、「瀧君は東京の男の子だよ」って言われて。瀧君、ナメてました、私。
◇肯定されて悪い気がする男はいない
サ: それなのに、さっきのLINE攻撃?
マ: 最終的には瀧君の一件を挽回しましたもん、私。誰かがトイレに立つ度に、キャバ嬢ばりに瞬間移動して、全員の男子の話を個別に聞きました。目を見て「うんうん、分かるよぉ」って、同意しまくり。
サ: この女子、信用ならないなって薄々思ってはいても、結局男子は、自分の話を黙って聞いてくれて、受け入れてくれる女子に弱いってことね。
マ: そうなんです。ただ一人、反論女子にいたく興味を持った男子もいたんです。「僕、海外で育ったから、君みたいに芯のある女の子が好きだな」なんて言って。反論女子、「いや、海外とか日本とか関係ないし」って更に反論してましたけど。
サ: 「何でも言うことを聞く女子はつまらない」「彼女とも対等に議論したい」っていう骨のある男子も、少数ながらいるものね。
マ: はい。でも、「広くモテる」という観点から言うと、やっぱり今の日本に於いてはまだまだ「同意女子」が有利です!
サ: 「今の日本」語るなら、まずは「君の名は。」観なさいってば!
◇今回のまとめ
誰だって、自分の話を肯定してもらうと気分が良いものです。特に男子は、無条件に自分の話を聞いてくれる相手を、「素直で可愛いヤツだなぁ」と思いがち。ですから、男子を温かく受け止める「同意女子」の人気は不動のものといえるでしょう。
でも実は、真正直に自分の意見を述べる反論女子の方が、根は素直。人間性としては誠実とも言えますが、残念ながら恋愛においては面倒くさい女だと敬遠されがちです。相手に同意しつつ、適度に裏で舌を出せるくらいのしたたかさがある同意女子が強いのでしょう。
自分を押し殺して意見をうのみにするのはよくないですが、時には賢く言葉を使うと、恋のチャンスも増えますよ。(犯人A子/ライター)