
「気が利かない」と店員の前で私を笑った彼→会計で、その店員が私に頭を下げた理由
上着をよけなかった私を、彼は店員さんがまだ近くにいるうちに笑いました。会計のとき、その店員さんが頭を下げた相手は私でした。帰り道、彼は「でも」から話を始めます。
彼が電話に出ている間のこと
付き合って2年になる彼と、久しぶりに2人で出かけた帰りに入った定食屋でした。私は生姜焼き定食、彼は唐揚げ定食を頼み、小鉢は選べたので私はおひたしにしました。注文を取ってくれたのは、研修中の名札を付けた店員さんでした。料理を待っているうちに彼のスマホが鳴り、仕事の電話だと言って外へ出ていきました。先に届いた私の定食に付いていたのが、冷奴でした。店員さんはお盆を置くと、伝票を見ずに次の席へ向かいました。私は間違いを指摘するのが苦手です。呼び止める手間と、慌てている店員さんの様子を見比べて、冷奴でもいいかと思いました。誰かのためというより、そのほうが楽だったのです。
店員さんがまだ近くにいるうちに
電話を終えた彼が席に戻るのと、彼の唐揚げ定食が運ばれてくるのが同時でした。テーブルには私のスマホとたたんだ上着が出たままで、店員さんはお盆を持ったまま置き場所を探していました。私は店員さんの顔を見ていました。小鉢の間違いに気づいているのかが気になっていたのです。上着をよけたのは彼でした。店員さんはまだ隣の席へ伝票を運んでいました。その距離で、彼は「こういうの普通気づかない?」「ほんとそういうとこあるよね」と言い、「気が利かない」と笑いました。付き合い始めた頃からの口癖です。レストランで取り皿を先に出さなかったとき、友人の家で空いたコップを下げなかったとき。彼は人がいるところほど、その言葉を笑って使いました。私はうなずいて、冷奴に醤油をかけました。上着をよけなかったのは私です。それでも、店員さんがこちらを一度見たことだけが、妙に気になりました。