
「別に怒ってないよ」と言う彼女の炊飯器から、俺の分だけが消えた3日間
「俺の分、なくなったのはなんで」。3日目にそう聞いた俺に、彼女が返してきたのは、昼休みに俺自身が送った言葉でした。
弁当と昼休みの軽口
同棲中の彼女とは、ケンカらしいケンカをした覚えがありません。それなのに、炊飯器で炊くのは彼女の1人分だけ。きっかけを探して記憶をたどると、彼女が朝に持たせてくれた弁当に行き着きました。
昼休み、同僚に「今日も彼女の手作り?」とからかわれた俺は、その場のノリで彼女にメッセージを送りました。
「コンビニでいいのに。作らせてる感じになるの、ちょっと恥ずかしいし」
俺が恥ずかしかったのは弁当そのものではなく、彼女に作らせている男だと見られることでした。ただ、そんな説明は一切しませんでした。
その日の帰宅後、彼女の様子が気になって聞くと、返ってきたのは短い答えでした。
「別に怒ってないよ」
声はいつも通りで、俺はそれを言葉のまま受け取りました。
俺の分だけがない食卓
翌日、仕事から帰ると、炊飯器には米がありませんでした。俺の茶碗も棚に置かれたままです。その日は炊く量を間違えただけだと思い、自分で代わりのものを用意しました。
2日目も、俺の分はありませんでした。しゃもじの隣に置いていた俺用のふりかけまで、引き出しの奥へ移っています。さすがに偶然ではないと気づきました。
それでも彼女は普通に話すし、笑いもします。「別に怒ってない」と言われた手前、俺も聞きづらく、その日は何も言いませんでした。
3日目。炊飯器を開けてまた米が無いのを見て、ようやく黙っていられなくなりました。