
エスカレーターで先に行く俺、「隣にいてほしい」と彼女に言われた日
彼女とエスカレーターに乗るたび、俺は「先、上で待ってるね」と言って歩いていました。改札の前で合流できれば、それでいいと思っていたからです。
先に上るほうが楽でした
彼女と出かける休日、駅のエスカレーターに着くと、俺はいつも歩いて上っていました。
「先、上で待ってるね」と声をかけていたため、置いていっているとは考えていませんでした。改札の前で待っていれば、同じことだと思っていたのです。
急いでいたわけではありません。エスカレーターで立ち止まり、話題が途切れたまま並ぶ時間を、俺は勝手に気まずいと感じていました。
歩いていれば間を気にせずに済み、改札の前ではスマホを見ていられます。俺は彼女の気持ちより、自分が楽な待ち方を選んでいました。
掲示への注意だと考えました
ある日、彼女が駅の掲示を見て言いました。「片側を空けるのって、本当はやめてほしいんだって」
俺は「みんな歩いてるじゃん」と返しました。周りにも歩く人がいることを理由にして、自分が立ち止まりたくない気持ちをごまかしました。
彼女は掲示へ目を戻し、それ以上は話しませんでした。そのときの俺は、エスカレーターの使い方を注意されただけだと考えていました。
先に行かれること自体が嫌だったとは、帰り道まで気づきませんでした。