
「邪魔だから」夫が陶芸を箱に詰め、私は近所を2周した
並んでいた器の代わりに、箱の側面には私の名前を書いた付箋がありました。
棚の景色が変わっていた日
陶芸は結婚前から続けてきた私の趣味です。棚に並べた器には、教室で先生に褒められた日や、初めて釉薬を調合した記憶が残っていました。台所へ向かうと、夫は炊飯器の前でお米を研いでいました。「私の作品たちは、どうしたの?」と聞いた私に、夫は振り向きもせずに答えました。
「邪魔だから」
「邪魔」と呼ばれた器のこと
米を研ぐ音だけが続いていました。妊娠したから片付けろということなのだろうか。それとも、その前から邪魔だと思っていたのだろうか。私は玄関に戻り、靴を履き直して外へ出ました。近所を2周する間、涙は出ませんでした。ただ、頭の中で夫の放った「邪魔」の2音が繰り返し鳴っていました。