
彼女からの「私のどこが好き?」に30分固まった俺。打ち終えた答えを、姪っ子のひと叩きで1文字だけ送信されてしまった日のこと
土曜日の午後、妹の家で姪っ子の面倒を見ていたときのことです。彼女からのたった1行のメッセージに、俺はすっかり手が止まってしまいました。
妹の家で受け取った質問
妹夫婦に頼まれて、3歳の姪っ子と留守番をしていました。テレビでアニメを流しながら、姪っ子は俺の膝の上で人形遊びに夢中になっています。スマホを軽く確認すると、彼女からのメッセージが届いていました。
「私のどこが好き?」。
画面を見たまま、俺の指は止まりました。付き合って1年。喧嘩したわけでも、特別な記念日でもない、ごく普通の土曜日です。なのに、なぜこの質問が今来たのか。深い意味はないのかもしれません。それでも、即答できなかった自分に少し驚きました。
答えが出てこない30分
顔が好き、優しいところが好き。頭の中にいくつか言葉が浮かびました。けれど、どれを送っても薄っぺらく感じてしまいます。彼女が読んだあと、画面の前でどんな表情をするのかを想像すると、安易な言葉では返せませんでした。
姪っ子をあやしながら、文章を打っては消し、また打っては消しを繰り返しました。喉の奥が少し詰まる感覚がありました。1年間、彼女を見てきたはずなのに、いざ言葉にしようとすると指が止まる。それは、考えてこなかった証拠のようにも思えました。
気づけば30分が経っていました。ようやく決まった答えを、片手で慎重に打ち込んでいきます。「全」と1文字打ったところで、姪っ子が俺の手元をぱしっと叩きました。