
彼女のメッセージだけ通知を残して、あとは全部ミュートにした俺の事情
鳴り続ける通知に追い詰められた日、全てをミュートにしました。たったひとつだけ残した名前の意味を、彼女にはまだ話せていません。
鳴り止まない通知
半年ほど前から、仕事が限界に近づいていました。担当する案件が急に倍に増え、昼も夜もメッセージが届く毎日。取引先からの催促、上司からの指示、同僚からの相談。通知音が鳴るたびに胃の奥がきゅっと縮み、
ある夜、気がつくとスマホを布団の下に押し込んでいました。翌朝、画面に表示された未読は47件。その数字を見た瞬間、指が勝手に動いて全員をミュートにしていました。
ひとつだけ残した名前
全員をミュートにしたあと、スマホの画面がしんとなりました。通知が来ない夜に、初めて深く息が吸えた気がしたのです。でも数時間後、ふと気づきました。彼女のメッセージも届かなくなっている。慌てて設定を開き、彼女の通知だけをオンに戻しました。それだけでは足りない気がして、専用の着信音まで設定しました。
彼女に「なんで私のメッセージだけ秒で既読つくの?」と聞かれたとき、「設定してる」としか答えられませんでした。「私だけ?」と重ねられても「うん」と返すのが精いっぱいで。本当のことを言おうとして、喉の奥が詰まりました。