
「なんでもいい」と返した俺が、彼女の「決めたよ」を聞いた瞬間に食欲が暴走する理由
自分でも情けないとは思っています。「なんでもいい」は本心なのに、彼女が決めてくれた瞬間に欲が止まらなくなるのです。
本当になんでもいい
仕事中、彼女からメッセージが届きます。「今日何食べたい?」。いつもの質問。考える。和食か洋食か中華か。パスタもいいし魚もいい。丼ものも捨てがたい。結局どれも同じくらい食べたくて、どれかひとつを選べないのです。
だから「なんでもいい」と返す。嘘じゃない。本当になんでもいいのです。ただこれが彼女を困らせていることは、なんとなくわかっていました。それでも選べない。優柔不断と言われればその通りですが、「なんでもいい」には「あなたが作ってくれるものならなんでも嬉しい」という気持ちが含まれていることも、一応伝えておきたいのです。伝わっていないことも、わかっています。
「決めたよ」の魔法
しばらくして彼女から「じゃあカレーにするね」と届きました。カレー。その一言を読んだ瞬間、頭の中にカレーの映像が浮かびます。カレーがあるなら横にサラダが欲しい。サラダがあるならもう一品、揚げ物が欲しい。彼女が決めてくれたことで、自分の食欲の輪郭がはっきり見えてくる感覚です。
気がつけば「あとサラダと唐揚げも」と送っていました。送った直後に「これはまずい」と思いました。なんでもいいと言った人間が追加注文している。客観的に見てかなり身勝手です。でも送信は取り消せません。既読がついたまま、しばらく返事が来ませんでした。画面を見つめたまま、首の後ろがじわっと熱くなるのを感じていました。