
彼女の誤送信のおかげで、俺たちは向き合い救われた
交際3年目、仕事のトラブルに追い詰められていた俺は、一番大切な人をどんどん遠ざけていました。彼女が別れを決意していたことを知ったのは、その後のことでした。
限界だった日々
あの頃の俺は、余裕を完全に失っていました。
職場で担当していたプロジェクトで大きなトラブルが発覚し、連日の残業と休日出勤。取引先への謝罪、上司からの叱責、チームメンバーのフォロ、すべてが同時に降りかかっていました。
彼女からLINEが来ても、返せるのは「了解」の一言。本当はもっと話したかった。「今日こんなことがあってさ」と愚痴を聞いてもらいたかった。でも、こんな状態の自分を見せたくなかったのです。
「忙しい」と言えば、それ以上聞いてこない彼女の優しさに甘えていました。会いたいと言われても「忙しい」で押し通して、気づけば1カ月以上会っていない。
心のどこかで、わかっていました。このままじゃまずい。 でも「落ち着いたらちゃんと話そう」「今はとにかく仕事を片づけないと」と先延ばしにして、彼女の気持ちを見て見ぬふりをしていたのです。
「話したいことがある」
ある夜、残業を終えてスマホを開くと、彼女からメッセージが届いていました。
「直接会って話したいことがある」
「話したいことがある」この言葉の意味を、鈍い俺でも察することはできました。彼女はもう、限界なんだ。
不思議なことに、そのとき頭に浮かんだのは「やっぱりそうだよな」という諦めに近い感情でした。1ヶ月も放置しておいて、待っていてくれるほうがおかしい。自分が彼女の立場なら、とっくに愛想を尽かしている。でも、同時にもう一つの気持ちが湧き上がりました。
このまま終わっていいのか。
俺だって、ずっと話したいことがあった。仕事がきつくて潰れそうだということ。それでも心配をかけたくなくて黙っていたこと。不器用にしか愛せなくて申し訳ないということ。
「実は俺も話したいことがあった。明日会える?」