男子は本当に女心を推し量るのが苦手です。
わかってあげたいのはやまやま
少し前にネットで、彼女が「わからないならもういいよ」と突き放すのに対して、彼氏が「(しばらく考える様子)……わかんねえよ」とつぶやくカップルのケンカシーンを捉えた広告を見かけました。
これは、カップルにありがちなすれ違いをとてもよく表しているなーと感じたのですが、とくにポイントなのは、「わかんねえよ」とつぶやく彼氏の表情が、とても寂しそうで、そしてどこか悔しそうだったところです。
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彼氏だって、もちろん彼女のことが好きなわけです。好きな人のことなんて、どれだけ理解してもし足りないし、もっともっと、深く知りたい。そんな気持ちがあるのは当然のことです。
だからあなたが、彼氏や好きな男子に対して「わかってよ、て言うか、わかるでしょ!」とイライラを感じてしまったときにも、きっとその彼も、理解するためのできる限りの努力はすでにしているはずだということです。
よほど女性経験のある男子でなれれば(ひょっとしたら、そんな男子であっても)、自分が惚れた女子の気持ちの中から「好きだよ」という気持ちを汲み取って、それにお返しすることでいっぱいいっぱい。
デート中だって、カッコよく思われようと頑張ることだけで、けっこう必死です。それ以上に、相手の「それは許せない」「気にくわない」といった細かな感情の機微を汲み取って、それを上手に消化してリアクションをしてあげる。これはもはや、神の領域。ただでさえ男と女は根本的に考え方が違うのですから。
まず、相手の不理解にもどかしさを感じたときには、相手も同じもどかしさを感じているということを忘れないでください。
「上から目線」に感じてしまう
また、「わかってよ」という言い方も、(そんなつもりはないのかもしれませんが)どこか傲慢に聞こえてしまっている可能性があります。少なくとも、男子の側からすれば。
すでに書いたとおり、女子の気持ちを十分に理解(してあげたいのに)できない男子は、それだけで相当のフラストレーションが溜まっているはず。
そんなところに、解釈のしようによっては、「この私の気持ちがわからないの? 彼氏なら、わかって当然でしょ」と、どこか上から目線に感じられなくもない言い方をされてしまえば、ますますフラストレーションは募ってしまって、せっかくの相互理解のための糸口だった「わかってあげたい」という気持ちすら、溶けていってしまいます。
わかってもらう努力
繰り返しになりますが、男女の価値観の差、感じ方の違いの大きさは相当なものです。
だから、これを乗り越えていくためには、「わかってもらうのを待つ」態度よりも「具体的に教えてあげる」という態度が非常に効果的になります。
単純な話で、わかってほしいのなら、丁寧に教えてあげるのです。
「わかってよ」と言葉にするのは、そうやって一度しっかりと、どうして不満なのか、どうして気に入らないのかをきちんと教えてあげたのに、それでもまた同じ不理解を繰り返してきたとき、そのときはじめてでもいいのではないでしょうか。
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「わかってよ」と感じるとき、言いたくなるとき、それはまさしくお互いの価値観の違いが表面化したタイミングですが、それは言い換えれば、それだけ深いところまで、ふたりの関係が進んだということ。付き合う前や、付き合ったばかりの頃は、そんな衝突が起きるほどには、相手のことを知らないのです。浅瀬でピチャピチャやってるだけ。そしてその衝突を乗り越えれば、またさらに深いステージへと進めるはずです。
「わかってよ」という言葉が口をついて出そうになったとき。そんなときには、「これはチャンスだ」と思い直して、今後のふたりの関係のためにも、一度冷静になって、「きっとあなたはこう感じてるんだと思うけど、私はこう思ってるの」と、建設的な進め方をしてあげてください。(遣水あかり/ライター)